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2020年9月14日 (月)

玉木敏明「海洋帝国興隆史 ヨーロッパ・海・近代世界システム」

11112  近代ヨーロッパ、とりわけイギリスで産業革命がおこって経済が急成長して、とれと同時並行するように海外支配を進め覇権を握れたのはどうしてか。近代ヨーロッパ以前にも、イスラムもモンゴルも中国も帝国を形成し、それなりに経済を発展させたが、どこが違うのか。
 産業革命についての一般的な議論は、蒸気機関などの技術革新がおこり生産量が圧倒的に飛躍したことによって資本主義経済となり、規模が急拡大したという言い方がなされる。著者は、それに対して、そんなに生産量が増えたって、生産したものを消費することがなければ、成り立たないのではないか、という問題意識を提出する。それがシーパワー、つまり海上交通の支配という視点に注目する。イスラム、モンゴル、中国といった帝国はシルクロードに象徴されるように領土内の交易路の安全は保障できるが、領土以外、つまりグローバルで安全を保障できない。そこで、交易をする商人は、盗賊などの危険に備えて自前で防衛をしなければならない。そこで多大な運輸コストがかかる。しかも、陸上交上交通は、領土として独占的に領有できないが、結節点である港を支配し、軍艦を護衛として船団を組むことで、安全な大量輸送が可能となる。しかも、商人はイギリス海軍に護衛してもらうので防衛コストがかからない(また、軍隊との方でも帝国のように領土全体に兵を駐在させることに比べれば、はるかにコストはかからない)。それによって大量生産した安価な製品の交易が可能となり、グローバルな大量販売のネットワークが形成された。そこで生産の技術革新が意味を持ってくる。そういう議論。たしかに、イギリスの後に、覇権国家となったのはアメリカで、やはりシーパワーの国だと納得した。

 

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