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2020年10月13日 (火)

加藤陽子「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」

11112_20201013202201  今、話題の日本学術会議に推薦されて任命を受けなかった6人の学者のうちの1人。19世紀列強のアジアへの侵略が進むなかで独立を守り、近代化を戦略的に進めてきた日本が、20世紀には軍国主義にはしり無謀な戦争に突入していくのを、止められなかったのかを問い続けている歴史家。第1次世界大戦への深刻な反省もあって、理性では戦争は割に合わないという考えが広まったにもかかわらず、敢えて悲惨な戦争に飛び込んでいったのは、不条理であり、そこに理性でははかりきれないものが働いていたのではないかという視点で、丹念に事実を拾い上げていく。そこで現われてくるのは、教科書に記述されているような分かりやすいストーリーではなく、当時の世界や国内の指導者やフロントの当事者たちには、どのように物事が見えていたか、そこで現われる選択肢を見つけていくと、決して教科書のようなストーリーではないということ、そういうものとして歴史を分かったふりをしてしまうと自己欺瞞に陥ってしまうことを、事実として呈示している。というよりも、著者がこの中の議論で自身がその可能性を見出していくのを読者に隠すことなく露わにしてくれるところは感動的。
 このような著作を業績として残している歴史家のどこが、「総合的、俯瞰的な活動を確保する観点」で問題があるのか、著作を普通に読んでいて、そういうことに思い至るということが疑問に思える。

 

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