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2021年2月28日 (日)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2020(1)

 2021年2月27日、バークシャ・ハサウェイのホームページに、ウェーレン・バフェットの「株主への手紙」の2020年版が掲載されました。
 これから、その全文を日本語にして、ここで掲載していきたいと思います。ただし、下手な訳、というよりも直訳に近いだろうから、読みにくいと思われた人は、原文を当たってみてください。
 下のURLにあります。
https://www.berkshirehathaway.com/letters/2020ltr.pdf
 それでは、少しずつ訳していきたいと思います。このような拙い翻訳を始めて10年以上となりますが、以前は全部終わったところでまとめてアップしていましたが、数年前から、ある程度進んだところで、その都度アップするようにしました。そのため、仕事の都合や翻訳のペースによってアップの時期が一定しませんが、我慢してお付き合いください。また、今年は諸事情あって、例年に比べて手をつける日々が大幅に遅くなってしまいました。ちょうど、新型ウィルスの流行前にアップされたものなので、少し時宜を逸したかもしれません。それでは、始めて行きたいと思います。

バークシャ・ハサウェイの株主の皆様
 2020年のバークシャーは一般会計原則(一般に「GAAP」と呼ばれる)に基づく株主価値をトータルで425億ドル増やすことができました。この内訳は次の通りです。営業利益の219億ドル、投資証券の売却によって得たキャピタル・ゲインの49億ドルと我々の投資持分の中に含まれていた未実現のキャピタル・ゲインの増加による267億ドル、そして最後に保有する一部の子会社や関連会社の価値の評価減による損失110億ドルの4つです。これらの項目は、税引き後ベースでの表示です。
 営業利益は、GAAPベースでは最大の項目ではない期間であっても、最も重要な項目です。バークシャーでは、このセグメントの利益を増やすことと、大規模で好条件の事業を買収することの両方に重点を置いています。しかし、昨年はどちらの目標も達成できませんでした。しかし、利益を維持しながら約5%の自社株買いを実施したことで、1株当たりの本質的価値を高めることができました。
 キャピタル・ゲインまたはキャピタル・ロス(実現または未実現を問わず)に関連する2つのGAAP基準の構成要素は、株式市場の変動を反映して、年ごとに気まぐれに変動します。今日の数字がどうであれ、長年のパートナーであるチャーリー・マンガーと私は、バークシャーの投資資産からのキャピタル・ゲインは長期的には相当なものになると確信しています。
 これまでに何度も強調しているように、チャーリーと私は、バークシャーが保有する市場性のある株式(2020年末時点で2,810億ドル)を、企業の集合体として捉えています。私たちはこれらの企業の経営を直接管理しているわけではありませんが、企業の長期的な繁栄を比率で共有しています。しかし、会計上の観点からは、これらの企業の収益の我々の共有分はバークシャーの収益には含まれていません。代わりに、これらの投資先からの配当金のみが帳簿に計上されています。GAAPの会計基準では、投資先が当社に代わって保持している巨額の金額は見えなくなっています。
 しかし、目に見えないものを、無視してはいけません。これらの帳簿に残らない利益剰余金は、通常、バークシャーのために多くの価値を構築しているのです。出資者は、留保された資金を事業拡大、買収、負債の返済、そして多くの場合、自社株の買い戻し(将来の収益に対する当社の取り分を増やす行為)に使用しています。昨年このページで指摘したように、内部留保はアメリカの歴史の中でアメリカのビジネスを推進してきました。カーネギーやロックフェラーが活用したこれらは、何年にもわたって、何百万人もの株主にも魔法のように作用してきました。
もちろん、当社の投資先の中には、収益を維持することで会社の価値を高めることができず、期待を裏切るものもいます。しかし、他の投資先は大当たりの成果を上げ、一部の投資先は見事な成果を上げることになるでしょう。全体として、バークシャーの非支配事業(他の人が当社の株式ポートフォリオと呼ぶもの)が保有する膨大な利益のうち、当社の取り分が最終的には同額以上のキャピタル・ゲインをもたらすことを期待しています。われわれの56年の在職期間を通じて、その期待は満たされ続けてきました。
 GAAPの数値の最後の項目である、あの醜い110億ドルの評価損は、ほぼすべて私が2016年に犯したミスが数字となって現われたものです。その年、バークシャーはプレシジョン・キャストパーツ(「PCC」)を購入しましたが、私はこの会社のために多額の支払いをしました。
 誰も私を誤解させなかった - 私は単にPCCが正常化されたとしたら得られる利益の可能性について楽観的に考えすぎました。昨年、私の誤算は、PCCの最も重要な顧客供給源である航空宇宙産業全体の不利な動向によって明らかになりました。
PCCを買収したことで、バークシャーはそのビジネスで最良の企業を所有することが出来ました。PCCのCEOであるマーク・ドネガン氏は情熱的な経営者で、当社が買収する前と同じエネルギーを一貫して事業に注ぎ込んでいます。彼に経営を任せることができて幸運でした。
私は、PCCが事業に投入した有形固定資産に対して、時間の経過とともに良好な収益を得ることができると判断したことは正しかったと考えています。しかし、将来の平均的な収益額を判断したのは誤りであり、その結果、事業の適正な対価を算出したのは誤りであった。
PCCは私の最初のミスとは程遠いものです。しかし、その数値は大きなものです。

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