無料ブログはココログ

« 塩田明彦監督の映画「黄泉がえり」の感想 | トップページ | 没後50年 鏑木清方展(2)~第1章 生活を描く »

2022年3月30日 (水)

没後50年 鏑木清方展(1)

Kaburagipos  3月下旬のある日、朝から、1年に1度の人間ドックを受けた。コロナ感染防止対策のためか手順が大幅に変わり、早朝に受付し、昼前には終わってしまった。いつもなら1日かけるのに、そう思って1日の休みをとっていたので、時間が空いてしまった。それで、何かないかと探していたら、見つけたのが、この展覧会だった。名前だけは耳にしたことがあるから、日本画の世界ではビッグネームなのだろうから、それなりに楽しめると思って、出かけることにした。
 地下鉄竹橋駅を降りて、近代美術館までの堀端の道は、蔓延防止措置が終わったためか、コロナ前とあまり変わらない雰囲気で、歩く人の姿もそこそこ。平日の昼ごろという時間のせいもあって、美術館は、それほど混んでいるわけでもなく、落ち着いて鑑賞できる程度の人の数。若い人は少なく、ほとんどが中高年で落ち着いた雰囲気だった。
 さて、私は鏑木の作品を見た記憶がないので、どういう絵を描く人なのかよく分からなかったので、いつものように主催者の挨拶を引用します。“鏑木清方(1878~1972)の代表作として知られ、長きにわたり所在不明だった「築地明石町」(1927年)と、合わせて三部作となる「新富町」「浜町河岸」(どちらも1930年)は、2018年に再発見され、翌年に当館のコレクションに加わりました。この三部作をはじめとする109件の日本画作品で構成する清方の大規模な回顧展です。浮世絵系の挿絵画家からスタートした清方は、その出自を常に意識しながら、晩年に至るまで、庶民の暮らしや文学、芸能のなかに作品の主題を求め続けました。本展覧会では、そうした清方の関心の「変わらなさ」に注目し、いくつかのテーマに分けて作品を並列的に紹介してゆきます。関東大震災と太平洋戦争を経て、人々の生活も心情も変わっていくなか、あえて不変を貫いた清方の信念と作品は、震災を経験しコロナ禍にあえぐいまの私たちに強く響くことでしょう。”
 この紹介では、どんな絵を描くのかマチイチ分からないので、ネットで検索してみたら、上村松園とならぶ美人画の大家とのこと、上村松園という画家もよく知らないのですが、美人画かあと納得しました。それで、今回の展覧会のチラシには、主催者あいさつで真っ先に言及されていた「築地明石町」が使われていましたが、私の正直な感想として、これが美人?です。もちろん、鏑木が作品を制作した昭和の初めと現在とでは美意識が違うので、当時は美人だったといわれればそれまでです。でも、美人から美人らしさってあるじゃないですか。これは美人ですよ、そういう約束になっています、それを見るものに感じさせる、そういうものが感じられない。例えば、マンガの世界で、ちゃんと顔を描いているわけでなく、省略した記号のような顔でも、マンガのお約束のヒロインですよということになれば、作品を読む人は、それを美少女なり、美人とみなします。そういうお約束を鏑木清方やその作品を好む人たちは私は共有していないと思われるので仕方がないのかもしれません。しかし、描かれた顔を見ていると、睨んでいるような眼が意地が悪そうで、しかも、瞳に生命感が希薄で、口を突きだして、という却って美人ではないように、わざと描かれている。しかも、描き方が淡白すぎるというか、描く人の思い入れたいなものが感じられない、とこれを果たして独立して完結した作品として提示する意志があるように見えないのでした。この展覧会には、100点以上のたくさんの作品が展示され、会場には少なくない人作品を身に来ていましが、私には、ほとんどの作品は立ち止まらせるようなものはなく、並んでいる前を素通りしてしまいそうなものばかりで、何がいいんだろうというこが分からない。私にとって難解な作品ばかりで、会場を通すのに時間がかからず、1800円という入場料を払ったから、というのでもったいないし、そういう意味で焦ったりして、という全体の感想でした。
 展示は、「生活をえがく」「物語をえがく」「小さくえがく」といった3つのテーマに分類して作品を紹介していて、美人画や風俗画、風景画、肖像画といったジャンルで分けるのではなく、あるいは、画家の生涯に沿って編年順に展示するのではなく、作品の中に描かれた題材や表現形式を軸に展示されていました。

 

« 塩田明彦監督の映画「黄泉がえり」の感想 | トップページ | 没後50年 鏑木清方展(2)~第1章 生活を描く »

美術展」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 塩田明彦監督の映画「黄泉がえり」の感想 | トップページ | 没後50年 鏑木清方展(2)~第1章 生活を描く »