Crosby, Stills, Nash & Young「Déjà Vu」
クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングは、1960年代の終わり頃、いくつか作られたスーパーグループのひとつで、それぞれに人気のあったCS&Nとニール・ヤングがドッキングしたもので、それゆえに2枚のアルバムを出して、短期間で活動を終えました。その後、それぞれはCS&Nとニール・ヤングに戻り、それぞれで活動を続けました。CS&Nはアコーステッイク・ギターと3人の息の合ったコーラスでフォークソングっぽい曲をきれいに歌うグループで、このアルバムのなかでも代表曲の一つ、Teach Your Children (『小さな恋のメロディ』という映画の最後のシーンで、主人公のマーク・レスターとトレイシー・ハイドの2人がトロッコをこいで大人たちから逃げていくシーンのバックにこの曲が流れ、とても印象的でした。これも当時の時代を象徴するようなシーンだったと思います。)のような演奏にこの個性が表われています。これに対して、ニール・ヤングはバッファロー・スプリングフィールドを脱退しソロシンガーになった後で、鋭い音色の切り込むようなギターでハードに歌い、後に次第にロック色を強めていく傾向を持った人で、このなかでも Helplessのようなソロナンバーを謳っています。このような傾向の全く違う2組が同じグループになり、それぞれの個性が如実に出たり、曲の中でぶつかったりアルバム全体を通して高いテンションが一貫しているものとなっています。異質なものが組み合わされたことにより、収録されている曲も多様で聴きあきることもなく、当時の60年代後半という時代状況も反映していて、Woodstockという曲は、伝説のロックフェスティバルを歌ったものです。(このグループも参加しています)それが、単に完成度の高い美しい作品という以上の、エナジーに溢れたというのか、パワーも感じさせるところもある、これもロック音楽と力強く肯定できるものが感じられたものでした。
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