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2024年2月21日 (水)

ヴィンフリート・メニングハウス「美の約束」(7)~Ⅳ存在が意識を規定する─外見の良さの人格効果

 美しさと美的評価についてのダーウィンとフロイトの系譜学は、哲学的美学が高度に文化的な人間の能力として分析するのが常だった知覚判断結合の進化にとって、包括的なモデルを提供する。これを規定しているのは、美しさに内在する性的魅力刺激と昇華する力という葛藤であり、美しさによる選択と繁殖成功という太古の連関の中断、いや傾向的にはその逆転であり、それゆえ、人生にとって不安定に揺らぐ価値と曖昧な機能を持つ魅力へと美しさが謎めいた変化を遂げることである。1970年代以降、大量のデータによる検証が試みられた。その結果、美しいとされるのはコンセンサスによる真実という前提に従い、美的判断は形態原理したがって膨大なデータ処理により、判断理由として特定の概念を必要とせずに、快不快率と相関させる。それらが信じられ、共有されるかぎりで、各個人への現実の影響甚大な部分となる。
 外見的特徴は、他者とのちょっとした接触や知り合いになるという状況で、最初の、そしてしばしば唯一の情報である。内発的な外見の評定が本質的二他のあらゆるコミュニケーションを調節する。第一印象の純粋に美的な情報内容は、震源の行動にとって根深い制御機能を持つ。かわいい赤ん坊は、両親から微笑みかけられ回数も多く時間も長い。赤ん坊にとってかわいらしさは、手のかかる新生児にたいする攻撃を効果的に減らし、質的に生存機会を改善するのに有利である。身体的魅力は、人間が種としても個としても進化する上で中心的な適応性能である。逆に身体的魅力の不足は、適応不足や不適応に結びつく。それゆえ、美貌は、決して単に皮相なものにすぎないわけではない。それは人生の機会や人生の履歴を、結局は人格を形成する。外見のよい人は、この世に生を受けてからずっと、その愛想、知性とコミュニケーション能力、社会的上昇と職業的成功のチャンスについて下される判断がその外見と深く結びついていることを、敏感に、そして至るところで経験してきたので、そのような肯定的な属性のすべてを具現化し、実際に期待に一致した神格特徴を発達させる。

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