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2024年5月16日 (木)

北欧の神秘―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画(3)~第1章 自然の力

 19世紀後半、ヨーロッパで興隆した象徴主義が浸透し、北欧独自の絵画を探求する画家たちは、母国の地理的、気象的特徴に注目した。雄大な山岳や森、湖といった自然風景、そして特徴的な夏季の白夜、太陽が昇らない冬の極夜、そしてオーロラが多くの作品の題材となり、特に冬の光景は北欧を特徴づけるものとして好んで取り上げられた。ということですが、象徴主義を感じさせられることはありませんでした。また。自然の風景は序章と重なるので、どう区別するのだろうか、疑問に思いました。時期が違うのでしょうか。序章が19世紀中ごろで、こちらは19世紀から20世紀にかけてということですかね。
Northsheep  アンナ・ボーバリ「羊飼い小屋のある風景、ノルウェー北部での習作」という作品です。これまで見てきた作品とは毛色が変わった。写実をベースにした描き方から、自由度が増したというか、この作品は習作かもしれませんが、塗りが平面的で、しかも色を混ぜないで、画面上で並べるように塗るのはゴッホなどを思わせるところがあります。それだけでなく、画面を見る者に何かしらの物語を想像させるように誘うところもそうです。鄙びた村の風景でも、ダールの「山岳風景、ノルウェー」とはずいぶん違います。時代の違いでしょうか。
Northspring  ニルス・クレーゲルの「春の夜」は、象徴主義を感じさせてくれる作品でした。くねくねと曲がり、いくつも枝分かれしながらひろがっていく木の枝の様子は「春」の陽気なイメージとは反対の陰気で不吉な雰囲気です。単に樹という以上に、何か心情とか雰囲気というものを隠喩的に描いているのではないかと、表現主義的な見方をしたくなります。これまで見てきた作品は、誰々風というように他の画家を思ってしまうのですが、この作品は他の画家を想像することがありませんでした。同じ一本の樹を描いたものでも、序章で見たトマス・ファーンライの「旅人のいる風景」と比べて見ると、その違いというか、この「春の夜」の個性的なことがよく分かります。
 ニコライ・アストルプの「ジギタリス」という作品です。チラシなどでは、同じ人の「ユルステルの春の夜」が出ていますが、私は、こちらの方が好きです。ジギタリスとは、画面向かって右前面の真っNorthjigi 直ぐ立ってピンク色の小さな鐘のような形の花を何個も咲かせている草のことです。毒草、薬草として広く知られているのですが、このことはこの作品で意味があるのでしょうか。白樺の幹が画面全体に密に生い茂って暗くなっている中でジギタリスが塔のように立っています。画面奥から右下へと、勢いよく水が流れる小さな小川が画面を区切って、前景には白樺の林とジギタリスが大きく描かれています。川の向こう側は後景となり、森が開けて3頭の牛が放牧でしょうか草を食んでいます。この3頭は対称的に配置されており、木の幹と相まって、構図に静的で図式的な印象を生んでいます。そして、奥には遠景で農村が望まれます。全体に、平面的で、Yokoyamasen2_20240516233201 図式的で、ゴチャゴチャしていているのに整理された感じで、そういうところは、アンリ・ルソーなどを連想させられます。この画家はムンクに感化され、独特の鮮やかな色彩を用いたと説明されていますが、平面的なところはムンクに通ずるところがあるかもしれません。しかし、この人は素朴というか、あっけらかんとした、それゆえに暗さは感じられません。ちなみに、近くにムンクの「フィヨルドの冬」が展示されていて、わりと有名な作品らしいのですが、私には雑だとしか思えませんでした。
Northsnow  ヴァイノ・ブロムステットの「初雪」という作品です。白夜だか極夜だかの薄暗く、雪が積もって音が失われたような静けさが漂い、港とか街とか本来は喧噪しているはずが静かという幻想的な風景。こういう雰囲気は北欧のイメージにぴたりとはまります。おそらく写実的に描写しているのでしょうが、一面グレーに彩色された幻想的世界に見える。何となく輪郭がぼんやりして、一面霧がかかったようなベBelgkhn3 ルギー象徴主義のクノップフの幻想的な風景画を連想させます。
 第1章の途中から階段を下りてフロアが変わり、そこから撮影可となり、鑑賞者は一様にスマートフォンを取り出して、カチャカチャと撮影にいそしみ始めました。

 

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