堀米庸三「正統と異端─ヨーロッパ精神の底流」(5)~第4章 グレゴリウス改革と秘蹟論争
11世紀から12世紀にかけて、ローマ法王グレゴリウス7世を中心として行われたカトリック教会の改革運動は、グレゴリウス改革と呼ばれ、古代的なものの尾をひく中世初期の政治的理念を清算し、成立期の封建社会の動向と不可分に結びつきつつ、中世のキリスト教的世界秩序とそのイデオロギーの実現を促し、しかもそれがもつ特有な内部的矛盾からして、その後の中世史の発展に主要な動力を与えるものであった。
西ローマ帝国の崩壊から中世の封建社会が成立するまでの混乱時代ローマ法王はローマ市と周辺の貴族の傀儡でありその地位をめぐる利権の争奪や聖職の売買は日常的だった。それが、1030年代に神聖ローマ皇帝ハインリヒ3世により法王が任命され、その腐敗に歯止めがかかった。そこでは法王は皇帝と並び立つものとされ、俗世の権力に従属しなくなった。それに伴い、教会内部でも綱紀の刷新が進められた。それがグレゴリウス改革である。
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