読売日本交響楽団 第693回名曲シリーズ演奏会
サントリー・ホールで小林研一郎指揮読売日本交響楽団の演奏会を聴いてきました。コバケンの熱演でしたが、約二十年ぶりに見たコバケンは爺さんになったという印象。たしかに演奏らは熱がありましたが、何か晩年の朝比奈隆の指揮した演奏会みたいな熱狂的な信者の集会のような雰囲気が少なからず感じられました。私には、ちょっとついていけない。
プログラムは次の通り
ショパン:ピアノ協奏曲第2番ヘ短調Op.10
ピアノ 牛田智大
アンコール:ブラームスの間奏曲Op.118の2
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調Op.64
アンコール:アイルランド民謡「ダニーボーイ」
前半の演奏が終わって休憩時間となり、人々が席を立とうとしたちょうどその時、地震がありました。けっこう揺れて、サントリーホールの天井から吊られた雲形が揺れによってぶつかって、ガチャンと大きな音がしていました。また、人々のスマートフォンのアラームが一斉になり出して、一時場内が騒然としました。ちょうど演奏が、おわったところで地震が起こった、そのタイミングはよかったと思いましたそれが、この演奏会では、一番印象に残りました。あと、指揮者がコバケンだからなのでしょうか、これまでいってきた読響の演奏会に比べて老人の客がとくに多かったように見えました。
前半の演奏については、ショパンの第2ピアノ協奏曲は、ショパンコンクールの決勝で、この曲を選択して優勝した人はいないという噂を思い出しました。同じショパンの第1ピアノ協奏曲に比べて、劇的な盛り上がりがないというか、よくいえば淡々としている。悪く言えば、曲そのものが平板としている。今回の演奏を聞いていて、そういう曲だということがよく分かりました。そんな曲を盛り上げるのはピアニストの力量に負っているのでしょう。今日のピアニストは、そういうピアニストだったと思います。バックのオーケストラもどこか気の抜けたような薄い音で、それは、後半のチャイコフスキーのオーケストラとは別のオケかと思わせるほどだったので、分かりました。
後半のチャイコフスキーはコバケン節が炸裂といっていいのでしょう。コバケン節といっても、メロディを歌わせるというのではないのですが、例えば、終楽章にはいった冒頭でロンド主題を朗々と謳うところなど、この指揮者は、メロディを歌わせることもなく、メロディを長くフレージングするのではなく、メロディの途中で細かく切ってしまう。それでは無機的で無愛想になってしまうが、この演奏はメロディの中に細かな強弱をつけて、メロディの演奏が波打つようになると、そこに動きが生まれる。それでうまれるグローヴがコバケン節なのではないか思います。それと、フレーズの入りに力が入る弾き方がされているので、弾きぶりに気合が入っている印象を全体に与える。オーケストラ全体が、がなり立てるといっていいほど、鳴らしている。各演奏者が、まるで競っているかのようで、それが全体としての演奏に強い緊張感を生み出している。それが、コバケンの熱演なのだということでしょうか。また、この指揮者は、あまりテンポを変えません。終楽章はロンド主題の繰り返しで、終わりに向かって段々とテンポが上がっていって、それにつれて盛り上がる演奏が好きなのですが、この指揮者はテンポを上げることをしません。盛り上がりは、主に音量の大小のメリハリで作り出しています。それに加えて、メロディの弾きぶりに強弱をつけて波を作り出すグローヴを指摘しましたが、それをロンド主題の繰り返しでは強調するように行い、繰り返しが重なるようになると、波が重層的になって、波が波を生むようなダイナミックな動きとなって、独特の盛り上がりをしていました。こういうのもありなのか、と思いました。独特のノリです。会場はかなり盛り上がっていたようです。たた、私の好みではありません。この曲は、もっと盛り上がるはずなのだが、というのが正直な感想です。



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